家計の財産状況を見るには、金融資産以外の実物資産も考慮に入れなければなりません。以下では、金融資産と非金融資産(実物資産とコンピューターソフトなどの無形固定資産)および負債を含んだ、家計のバランスシート(以下「B/S」)を考えてみたいと思います。内閣府のSNA(SystemofNationaAccounts「国民経済計算」)によれば、2008年末の日本の国民資産合計は8028兆円で、このうち、非金融資産が2558兆円、金融資産が5458兆円です。
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そこから負債合計5233兆円を差し引いた2783兆円が、日本の「国富」(正味資産)になっています。SNAにおける家計部門(含む個人企業)を見ると、家計資産は非金融資産が1000兆円、金融資産が1419兆円で、合計2419兆円です。家計の正味資産は、これから負債合計373兆円を引いた2046兆円で、「国富」の73パーセントか家計に帰属しています。家計の非金融資産(実物資産)1000兆円の内訳では、土地が765兆円、建物などの固定資産が221兆円で、家計資産の40パーセント程度を不動産が占めています。米国でも個人資産に占める不動産の比重は大きく、30パーセント程度(連邦準備銀行)ですが、日本の土地・住宅価格は国際的に見ても高いため日本には及びません。不動産は価値が市場の変動にさらされる「リスク資産」ですから、実物資産を含めたB/S全体で見た時には、日本人の資産保有が「安全資産」に偏っているという見方は、かなり修正されます。相続した土地や自宅を含めたB/Sを、資産選好に基づく「ポートフォリオ」と考えることには、いささか抵抗があるかもしれません。しかし家計の保有資産のなかで不動産が占める比重を考える時、金融資産だけを取り上げてその内訳を議論しても、何か考え落ちがあるかもしれません。実際に最近の研究では、日本人の「安全資産」に対する偏りか、実物資産も含めて考えた場合には、合理的な資産選択になっている可能性が高いという指摘が出てきています。