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住宅ローン残金の全額を支払うこと

2011.11.11

建て替え決議の賛否を問う「天王山」ともいえる住民総会は、当初の予定から二〇〇〇年五月に延ばされた。「合意形成に日数が足りない。もっと時間をくれ」と推進委員会が三井不動産を説得しての変更たった。泣いても笑っても、この決議で十数年間の苦闘に黒白がつけられる。全員合意の「旗」は消え、「数」で団地の進路が決められる。目の前に「天王山」が立ち現れ、団地内は大騒ぎとなった。推進委員会は、建て替え決議における「賛成率九〇パーセント突破」を事業化の「生命線」と定めた。

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建て替え不参加者は一割。可決後にその半数を説得し、「時価」で買い取る戸数が三〇戸少々なら事業は実現すると判断した。九割の賛成を是が非でもかちとらねばならない。四つの作業部会が設けられ、住民と膝をつき合わせ、ぎりぎりの話し合いが行われた。自己負担金の減額が最優先だった。現管理組合理事長・下村泉は語る。「細部を徹底的に見直しました。床工事費を一平米三九・四万円から三八・八万円まで落とし、信託関連費、住戸買い取り費、提供公園費なども切り詰めました。苦心惨憺して、自己負担額を一戸平均約一八七万円から一五五万円まで減額しました。いざ、事業案を練り直して、戸別に当たってみますとね、最大の難関が、債務の問題でした。金融機関側は、建て替え決議が成立したら、数千万円のローン返済中の人にも残額を払って担保を完全抹消しろという。建て替えは、いったん建物を壊して更地にするわけだから、借金の形(抵当)がなくなる、との論法です。借金をきれいにしなさいと言われて、ハイ、そうですかとできるのなら、ローンなんて組んでない。債務をそのまま新しい住居に付け替えてくれないのが痛かった」