競売市場では、買手がなくても売りものがあれば市場が生じる。ふつうの市場と異なり、買手がいるから売りものを出そうということはあり得ない。売手は所有権者でなく、強いていえば金融機関であり、仲介業者が裁判所である。競売市場の主な参加者は、関係者は債務者、債権者、裁判所であり、他には応札者だ。借金が返せなくなった債務者が、担保提供した物件を売って債務の返済に充てなくてはならないとき、たいていは金融機関が競売申し立てを裁判所に申し立てる前に自分で売却しようと、自発的に行動する。なぜなら、裁判所によって競売処理をされると、借金の返済ができないことが世間に公表されて、不名誉なことが周囲の人たちにばれてしまうからだ。また、競売によって売却される競売価格は一般の不動産売買市場でつけられる正常価格に比べてかなり安く、損をするとの思いが強いからだ。さらに第三者に買われるくらいなら債務者の縁者が肩代わりするなどして、先祖代々の物件を守りたいという心理もある。金融機関にしても、戦後、大小・深浅は別として何度か不動産不況が発生したが、競売システムを利用して不良債権の回収を図ることはあまりなかった。
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