「でいねい」に似た語感のある言葉に「心を込めて」というのがある。私は子どものころから、「心を込めて」という言葉がキライだった。何を見ても、何を読んでもそう書いてあるんだもの。「心を込めて、厳選素材でつくりました」なんて書いてある商品を見ると、「マニュアル通りに、安く買った材料でつくりました、って意味でしょ」などと、子どものくせにイジワルなことを考えていた。そのくらい、「心を込めて」には安っぽい響きがあったのだ。
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「心を込める」なんていうのは、本当はものすごく高度でタイヘンなことだ。私なんぞは「心を込めて」何かをやったことなどないと思っていた。当時の私は「心を込める」ということを、眉間にシワを寄せてウンウン唸りながらじゃなきゃできない筋肉労働だと思っていたフシがある。そんな私も長じて家庭を持ち、心なんか込めているつもりはサラサラなく、自己流家事で日々を暮らし始めた。